
曲亭馬琴/作 小池藤五郎/校訂
まさか南総里見八犬伝を原文で読む日が来るとは。
かつての私もそう思っていました。
「馬琴」
さ、さすがに聞いたことのある名前だ。そしてこれは200年は前の時代の小説。
挿絵も趣がある。そして文章、たくさんルビを振ってあるので、旧字や難しい漢字も読める。
なんとなく読めばいいのだ。多少読めない部分があっても、飛ばしてストレス無く読み進めるほうが大事、と思いつつ読んだ。
だって文庫版だと10巻あるんだもん。現代の小説と違って、全然改行しないしね。
でも、言葉に魅力を感じる人ははまると思う。句読点がたくさん打ってあって、リズム感がいい。
馬琴、漢籍も嗜むでしょ貴方……というシーンもあり。
「されば妲己は朝歌に殺され、大真は馬塊に縊る。」
これ~~~~!どちらも古代中国の傾国の美女。後者の「大真」は楊貴妃の別名。
ちなみに私はというと、妲己はゲームで、楊貴妃は映画で知った。
こういうネタを引用できる馬琴、すごいや。
あらすじは各自で検索してほしい。
個人的に、包囲された城からの脱出が死活問題だったとしても、
飼い犬に「敵大将の首持ってきてくれたら、娘(姫)と結婚させてやる」なんて冗談でも約束しちゃいけないだろ~!と思った。
それが全ての始まり、原因になっちゃった。
この物語の宿命はこの父親のうっかりで始まってしまったのだ……。
何度も言うけど、無理せず読み進めれば、血沸き肉躍るような表現、大立ち回りのシーンに出会えること間違いなし。
もう一つだけ紹介させてほしい。
乞食に扮していた金碗八郎孝吉の登場シーン。
「そのとき乞児は逡巡して、恭しく額を着、」
から始まり己の出自を名乗る。この、何でもないすれ違うだけかと思われた人が、実は重要な人物だったっていうの、とてもエモい。汚い身なりときちんとした言動のギャップもね。
水戸黄門好きな人はこの気持ちを分かってくれるのではなかろうか。
とにかく原文を読んでみてほしい。意外と読めたりするから。
岩波文庫版だと中古しか出回ってなさそう。
でも手に入れて読む価値あり。
